かつて一九七四年、第二回世界宗教者平和会議をベルギーにおきまして、スーネンス枢機卿の協力のもとに、ルーベンで行いましたが、そのとき英国の記者から私はこういう質問を受けたのでございます。
「あなたは平和のために、いろいろと努力をしているようだが、効果はあがらないのではないか」と。そのとき、私はこう答えました。「いや、効果がなかなかあがらないからこそ、私は一生懸命にやっているのだ」と。皆さん、それこそが損得や利害打算を捨てた宗教者の使命ではないでしょうか。
今日まで、私は宗教者として平和のために何をなすべきか、何をなし得るかを模索しつつ実行してまいりましたが、確かにその歩みは遅く、足跡は失敗の繰り返しであったといえるかもしれません。
「私は一つの事をしようとして失敗した。あなたもまた同じように失敗した。しかし二人が力を合わせればできることがたくさんあるに違いない」――そうした思いのもとに私は世界の宗教者と力を合わせて世界宗教者平和会議の活動を行っているわけであります。
おそらく今回のテンプルトン賞は神仏が私に「迷わずにその道を行け」というみ心を示されたものと存じます。私はこの受賞を深く感謝すると共に、仏陀の説かれた「一つのたいまつから何千人の人が火を取っても、そのたいまつは元のとおりであるように、幸福はいくら分け与えても減るということがない」を最後に引用いたし、今後の努力をお誓いして私の講演を終わりたいと思います。
ご清聴、まことにありがとうございました。