祖父の言葉が今の私に……
来賓の皆さま、議長、そして紳士淑女の皆さま、このたび、私は図らずも素晴しいテンプルトン賞を頂戴致しましたが、世界には私よりもはるかに優れた宗教上の業績をあげられた方々が、たくさんおられるにもかかわらず、私に受賞の光栄を賜ったことを心から感謝申し上げる次第でございます。と同時に、私と共に世界宗教者平和会議のために、過去十年間にわたって協力してくださった同志の方々の賜物であることを、特に申し添えておきたいと存じます。
講演にあたって、まず申し上げておきたいことは、私は学者ではなく、仏陀の教えのままに実践している。仏教徒にすぎないということであります。その私がいま、足りないながらも人々の幸福と世界の平和のために努力し得ているのも、少年時代にうけた祖父からの影響であることを忘れることはできません。
私は、日本の北部にある新潟県の山の中の寒村に育ったのでありますか、私をかわいがってくれた祖父が、「どんなに小さい虫でさえも、自分で食べるくらいのことはしているではないか、まして人間として生まれたからには、世のため、人のために役立つ人間にならなければいけない」ということを常々、私に言い聞かせると共に、自らも村人たちの苦しみ、悩みのために献身しておりました。その祖父の言葉と姿が、いつしか私の意識の底にしみ込んだのでありましよう。後に私をして宗教の世界に目を向けさせる要因になったことは確かであります。