先程説法なされた渋沢さんなどは、お母さんは私の側で修行された方ですから、娘時代から佼成会の教えに沿ってやってきた人だ。そういう人と、昨日今日入ってきた人と同じように見て説いていたんでは、教えはなかなか浸透しない。
朝夕のご供養が億却でなくなった。正しい考えで正しい行いをしていたら、こんなにも自分の心が爽かになり、何の心配もない心境になったと、そう言っても、それは一朝一夕でなったんではない。やはり何十年もいろいろのご苦労をお母さんがしてきて、その功徳によってそれが自分の身にも付いてきたんですね。そして、今は教会長として一生懸命でやっている。こういうわけなんですね。ところが、そういう人と入ったばかりの人と同じレベルで話したんでは無理がいく。そこで仏さまは〝万億の方便〟が必要なんだと、こう言ってるわけなんです。方便というのは嘘ではない。この人を真実へ導き入れるのにはどういう方法がいいか。どういうふうに話したら相手が分かって実行してくれるか。これを相手の機根に応じて考えていく。これを方便というんです。方便とは言っているけれども、本当は真実なんですよ。その人を救うための……。相手をよく見抜いて説いていく。これが方便力というものなんです。