欲もバランスが悪いと地獄行き
譬諭品というのは実に長いお経なんですね。けれども、あまり長いと皆さん飽きちゃう。(笑)だから、私は三行ばかりにしてある。(笑)だから長くない。一番短くしてあるんだ。(笑)
「今此の三界は皆是れ我が有なり……」とありますが、この三界というのはどういう界なのかと言うと、欲界・色界・無色界、この三つを三界と言うんです。これだって一番最初に出てくるのは欲界なんですね。娑婆はだいたい欲の世界なんですね。だからみんな欲が張ってる。戦争なんかが起こるのは、欲の世界で、みんな譲る気持ちがないからなんですよ。何でも自分の意見を通そうとゴリ押しするからなんですよ。欲があるからなかなか譲れないわけだ。
色界の色というのは、もちろん色気という意味もありますが、本来は形になって見えるものという意味であります。私共は生きている間中は色気がある。昔の人が冗談のようによく言っていたことの中にもなかなかの真理があるんですね。「人間は灰になるまで色気はなくならない」と。そう言われるほど色気をなくすというのは難しい。年を取っても浮気したい人が多い。(笑)生きながらにして色気をなくするというところの行というものは、なかなかたいへんな行なんです。欲をなくするのもたいへんだけれども、浮気心をなくするというのもたいへんなんだ。
次の無色界というのは、目に見えない世界なんです。心は目には見えない。じゃあ、ないのかというと、ないことはない。あるんです。あるんだけれども見えない。心とか精神とか霊界といったものが無色界なんです。目には見えない、つまり形のない世界だから無色界というわけです。
それにしても、一番先に欲界が出てくるんですから、人間はいかに欲が深いか分からない。しかし、その欲を捨てればいいわけです。目連尊者のお母さんにしても、自分の子供を立派にしたいと思うあまり欲の方に走ってしまったんですね。欲のバランスが悪かったために地獄の一劫で苦しむことになったんですね。