極楽世界を意識する
最近どこへ行っても私は申し上げるのでありますが、例えば、夜道をご婦人が一人で歩いても、ちっとも心配がない――そんな国はないんですね。アメリカなどを手本にしてきたのですが、アメリカのニューヨークなんかへ行ったら、女の人が一人歩きしたらすぐさらわれたりして、大変なことになるわけです。ですから歩かないで下さいということを、ホテルの中にもいろいろ書いて知らせてあります。ヨーロッパに行っても、そういうことを言われます。ところが日本では、ご婦人が夜歩こうと昼間歩こうと自由で、思想が自由で、信仰が自由で、それで経済はどうかというと、大変外国の人がみんなうらやましがるほど、日本の円の価値が倍になり、三百六十円が百八十円になったのです。
そういう状態で、経済も安定しているし、政治もちゃんとしておるので、どこでも一人歩きして夜道でも心配がないというように、国家が安定しているわけです。ところが、不景気だというようなことを言っているのです。失業者もないことはない、あるわけですからそういう話を聞くと、不景気だ、もっと景気をよくしてもらいたいというようなことを考えるのでありますが、本来を考えてみると、食べたくてもお米がとれないというような時代、お米が日本中なくなったような、あの終戦直後の状態、それがわずかの間に、お米が余って困るという、もう十年もたつような古米がとにかく北海道には積んであるというような、そしてまた最近は、いろいろの果実が沢山なって、みかんやぶどう、栗が沢山とれるというほど技術が上手になりました。沢山ものが製造できてあり余るほどの食べ物からいろいろのものが充満しています。こんな状態をいつの世の人が想像したでしょうか。我々の想像のつかないような、極楽のような世の中にいて、まだ極楽でない地獄のような考えをしている人がまだいるということで、そのことをまず私どもがはっきりと自分で意識して、極楽であるぞ――と。