それはやっぱり、目連尊者のお母さんも個人エゴで、自己のエゴというものをみんな人間はもっておる。それを自由に野放しにすれば、かくの如くなるぞということを如実に見せておるわけであります。それにくらべて、罰金を一つひとつ取り上げて、悪というものに対しては、万民がこれを憎んで直そうという、お互いが自戒自粛しようという国民、これは、たとえ国は小さくともすばらしい国民なのであります。
日本の国は資源がないといいますが、シンガポールも日本以上に資源がないのです。もっとも顕著なものは、飲み水が六十パーセントしか自分の国では補えないというのです。それでマレーシアのほうから水を買っているわけです。ですからわれわれが石油を買うのと同じように、シンガポールでは毎日の洗濯から飲み水まで、水を買わなければならん──それも四十パーセントも買っているわけですから、たいへんなことであります。そういう国でありますから、勝手なことをいって、それこそ自由放題になっておったら、これは国が治まらないと思うんであります。
ところが悪条件のところの人は何をいっているかというと、宗教団体では日本の宗教界を学べというし、経済界では日本がアジアの第一等国だから、その日本に学べと──こういうことをいってむこうの人は日本人をたいへん高く評価しているわけです。
その国へ行って、私どもはいろいろと歓待されながら、準備会議を三日間やりました。終ってから二日ばかり余裕がありましたので、街を見物させていただいたり、一般のいろいろな方々とも多少お付き合いをさせていただきました。
そういうことをしてみると、人間というものがほんとうに善と悪とをはっきりとして、善にむかって進み出したならば、たとえ力が弱くともそれはすばらしいものだなあ──と私はそう思わずにはいられないような体験をさせていただいたわけであります。
この宗教連合会のこと、またちょっと悪いことをすると罰金をとられるということ、そして今、非常に真剣に貿易をやっておる……二百三十万ぐらいの国民ですから、ある程度景気はよろしゅうございます。そして日本は建築材料が最近非常に高騰したりしまして──過去十年から五年前の時代に比べると、最近は建築ブームも少々静かになっておりますが──シンガポールでは今、徹底的に街の改造やらなんやらで、建築ブームがたいへんなものです。