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世界にはまだ文盲(「ぶんもう」と発音)の解決よりも、まず、パンが問題のところがたくさんございます。
 わたくしども立正佼成会におきましては、いままでにカンボジアにおいて子どもたちの学校をつくり、農業の指導を行い、ラオスでは信仰の中心である国宝タートルワン寺院の修復に取り組んだことがございます。
しかし、それらの事業は、戦争による政変によってあえなく放棄せざるをえませんでした。さらにベトナム難民の救助、バングラデシュの子どもたちへの食糧援助、ネパール女性の日本(にほん)における看護婦養成などを、微力ながらも続けておりますが、それはまだ事態を揺り動かすほどの力にはなっておりません。
 かつて1974年、第2回、せいかい、世界宗教者平和会議を、ベルギーにおきまして、(咳払い)スーネンス猊下のご協力によりまして、ルーベン大学内で行わしてもらいました。そのとき英国の新聞記者から、わたくしは、こういう質問を受けたことがございます。「あなたはいろいろと平和のために努力しているようだが、効果はあがらないのではないか」と。そのときわたくしは答えました。「いや、こう、効果がなかなかあがらないからこそ、わたくしは一生懸命にやっているのだ」と。皆さん、それこそが、損得や利害打算を捨てた、宗教者の使命ではないでしょうか。
 今日(こんにち)までわたくしは、平和のために宗教者として何をなすべきか、何をなしうるかを模索しつつ実行してまいりましたが、確かにその歩みは遅く、足跡(そくせき)は失敗のくり返しであったといえるかもしれません。わたくしは、一つのことをしようとして失敗した、あなたもまた同じように失敗した、しかし二人が力を合わせれば、できることがたくさんあるに違いない、そうした思いのもとに、わたくしは、世界の宗教者を糾合(きゅうごう)して、世界宗教者平和会議の活動を行っておるわけであります。おそらく、今回の、テンプルトウ、(咳払い)トン賞は、神仏がわたくしに、迷わずにその道を行け、(間)、との、(間)、ご啓示をくだされたもので、ものだと存じます。わたくしは、(間)この受賞に深く感謝をするとともに、今後の努力をしてまいる覚悟でございます。
 以上を申し上げまして、わたくしの講演を終わりたいと存じます。ご清聴、ありがとうございました。

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