法華経の教えというのは、人間の心の中にある仏性を、はっきりと意識して顕わす、ということを根本理としています。
そのために仏さまは、あるいは因縁説を説き、あるいは方便を説いて、あらゆる方法で繰り返し繰り返し、私どもにわからせようとしておられます。例えば、『衣裏繋珠の譬え』なども単に宝珠が衿の裏に縫いつけてあったという譬えでなく、心の中の仏性という宝に気づきさえすれば、日蓮聖人のご遺文にもあるとおり『十方は悉く宝土である』ということを教えているわけです。
ですから今、人類すべてが法華経の精神を身につけ、大慈大悲の仏さまのみ心のようになったら、それこそ世界は宝の山で、お互いにゆったりした気分で過ごせるはずなのです。
それなのに、超大国と言われる国がつまらぬ意地を張り、六千億ドルもの金を軍備に注ぎ込んで、おかげで、世界中が不景気に苦しんでいます。
〝一遍に全部は無理だろうが、せめて半分に削ったら、難民も貧困も飢餓も、すべて解決できる〟ということを、今回、私は訴えました。このようにわかりきったことが実行できないという、愚かな状態に、現在の世界はあるのです。
先ごろフランスで開かれたサミットの中心議題は、アメリカの高金利でした。
何しろ現在のアメリカでは、私がかつて七年ほど通ったことのある質屋さんの利子と同じ一割五分という、まことに滅茶苦茶な高金利を実施しており、このために世界の経済が行き詰まっています。
ところが、パリのベルサイユに先進国の指導者が集まって話し合っても、この金利を下げさせることができなかったというのですから、残念なことです。しかも、レーガン大統領は、あの宇宙船スペースシャトルにまで、軍事的な役割をもたせようとしていると言われるように、こういうことに余計な金を使うから、アメリカはますます不景気なのです。
一方では、著名な大学教授が、二十七歳になるお孫さんに殺されるという、痛ましい事件が最近ありましたが、いくら教養があっても自制心を失うと、思いもよらぬことをしてしまう愚かさを、人間はもっています。
ですから、アメリカで、百万人もの人が反戦、核兵器廃絶の大集会に集まったというのも、ただごとではないのです。