百聞は一見に如ず
先程、秘書室長の竹村君が、今回私がソ連に行ってきたことについていろいろと話しておりましたが、なにしろ共産主義国の本家であるソ連に私が行くというので、竹村君はだいぶ神経質になって苛々していた。私はそれをよく分かっていたんです。けれども、とにかく昔から「百聞は一見に如ず」という言葉がある。行かないうちから、ああだ、こうだと言ってみたってしょうがない。行ってみれば「ソ連、見たかい」「それ、見たかい」で、誠に簡単に分かるんですから。
ソ連という国は共産主義の国なんですが、ソ連の総人口2億5千万人のうち、共産党員というのはわずか1千万人しかいないんだそうです。ところが、ロシア正教の信者は6千万人もいる。その他にもまだイスラム教徒の方が5千万人もいるんだそうです。
ソ連という国は「宗教は阿片だ」という共産主義の国でありますが、実際はこういうことでありました。そして、この他にも仏教の方もいらっしゃる。先程竹村君が、ソ連は昔蒙古(元)に侵略されたことがあると話しておりましたが、その時に仏教も伝えられたんですね。
そういうことになりますと、ソ連の半分以上の方々が何かの形で信仰を持っていらっしゃる。こういうことになるわけであります。で、それにひきかえ共産主義者というのは総人口の25分の1しかいないんですね。ソ連という国はそのように宗教を持つ方々がたくさんいらっしゃる国なのですから、本来ですと今までに何回も訪問してみればいい国だったんですが、いろいろのことがあって今まで疎遠になっておった。
また、ソ連という国はWCRPの会議などには喜こんで出席して下さる。しかし、WCRPのためにお金を出して頂きたいと、こう申し上げても分担金も含めて一切出してくれない。これまた、非常にあっさりしているんです。出す気がない。そういう状態だったものですから、ソ連という国はいったいどういう国なんだか、それこそ気持ちが、私も分からなかった。