欲の入れ物には底がない
──せめて足ることを知る心に──
こういうことが順々に進んでおる。これを見まして、私はいかに人間のエゴというものが恐ろしいものかを痛感しました、と同時に私達が不安に感じていることも、仏さまがおっしゃるように「諸苦の所因は貪欲これ本なり」で、「貪欲を滅すれば依止するところなし」で、まことに心配がないわけなんです。ところが貪欲で物事を考えていくと、こんなに救われて、戦争なんか日本には起こりそうもない──こういう条件のなかにあっても、どうも安心がつかないなんてことになるわけです。そういう人が今、日本にはたくさんいるんです。
日本の国民はお医者さんの説からいいますとたいへんに病人が多い──なぜ病人になるかという、その病気の原因をだんだんと探求してみると、心の悩みからきている病気が非常に多い。そういうことを聞きますと、この狭い窮屈なところでも頑張って、政府を信じ、そして自分の善と悪とをはっきりとわきまえて、国民が踏み出す──こういう生き生きとした状態になれば、それは小さい国であっても、実にものすごい迫力をもって立ち向かうことができるのです。こういうように、日本人がここでいっぺんにですね、ふんどしの締め直しをして立ち直るということになれば、ぜいたく病の病人なんかいなくなるわけです。日本人の半分以上が病気だという統計が出ているわけです。
私どもの会が創立したのは、条件の悪い昭和十三年、その当時は実際に栄養が足りないために、どんどん倒れていく。そして肋膜なんていう病気、あるいは肺病なんて病気になる人は、栄養をとって養生をしておれば治るんです。しかし、栄養が足りないところに、さらに労働は欠かすことができない──どんどん戦争に持ち込もうというわけで、もう一億総動員で働かなくちゃならんという時代で、追いまくられておりますから、どんどん倒れてしまうような条件のなかにあったわけです。
そういった条件のなかでも、それを乗り越えて信仰をするような、気持のすばらしい人には、「衆生を悦ばしめんが為の故に無量の神力を現じたもう」とお経にあるように、どんどん病気が治ったんですね、その当時は……。ですから心を直すということが、いかに大事なことかということを、その時も、私どもは体験をしておるわけであります。