開祖さまご法話テキスト『求道』 1976年
第一回シュバイツァー賞授賞式
本日は私どもの教団の八幡大菩薩さまのご命日のよき日に、どういう関係か、想像もされなかったシュバイツァー賞の第一回の受賞の光栄に浴しまして、どのように表現してお礼を申し上げたらよろしいか、迷っておるような次第でございます。しかし、いまこのシュバイツァー賞に対してのお言葉をラーバン博士から伺いますと、私ども佼成会員の活動が皆さまの目に映って、特にIARFの方々のお目にとまった。佼成会の菩薩道という姿勢が、ちょうどシュバイツァー博士の生涯の活動、それによく精神が似ておるというわけであります──自ら聖なる生活を送って、また、自ら望んで他人のために奉仕をする、こういう心の姿勢でございます──法華経の中に「四無量心」というのがあります。「慈悲喜捨」という言葉がございます。「方等経は慈悲が主なり」と言われておりますが、その慈悲、そして他人に奉仕をすることを非常に喜びとする「慈悲喜捨」、この「四無量心」の修行というものが物語っておると思うのであります。
そういう意味で、私はこの受賞は決して私にもらったものでなくて、仏さまのみ教えを自分が体験して、それを人さまに伝え、そしてまた伝えられた信者の皆さまが、本当に仏さまのお説きになった理想のごとく行動をされる。そういうところが世界じゅうの宗教者のお目にとまったということでありまして、会員皆さまの菩薩道実践が本日の光栄に浴したのであります。
よく人が組織をつくり、組織が人をつくると言われます。そういうことを考えますと、私どもの会員だけではなくて、この光栄に浴すことのできた一つのきっかけというものを考えますと、たとえば新宗連という連合体のできるその産婆役をしてくださったのは新宗連専務理事の大石秀典先生です。これは日本じゅうの新しい宗教を、宗教の目的というものは一つなので、説き方や多少の修行の方法は違うけれども、それはやはり世界の平和、人類の福祉ということにあるんであろう。そこであなたと同じ考えの人があちらにもこちらにも、相当の教団の指導者である方がいらっしゃる。その方と一度会ってみないかということから始まって、新宗連の結成ができたわけであります。それは二十五年前のことであります。そういう結成ができますと同時に、これまた国際的問題にまで私をお導きくださいましたのは、IARFの日本の代表でずっと長いことご苦労願いました今岡信一良先生であります。先生に新宗連ができたことによってお目にかかる機会があった。そして世界宗教協力協議会というものをつくったことがございます。そういう関係から次には、日米宗教者会議というのがありました。これはシュバイツァーさんと違う、インドのガンジー翁の生誕百年というのを、そのお祝いをするだけでなくて、近代の聖者としてガンジー翁ほど平和に徹した、非暴力ですばらしい人はいない、こういう意味で百年祭を記念して、世界の宗教者が心を一つにした会議を持ちたい、こういう問題をアメリカの方々が日本に持っていらっしゃったのであります。その大方の方がユニテリアンの方、いわゆるIARFの方々であったわけであります。そういう関係を結んでいただきましたのは、これは今岡先生のお導きによるものでありまして、そういう意味から、世界の舞台で私のような者を認めていただけたというのは、これは一に今岡先生のお導きのたまものということに相成るのであります。
そういう意味で、きょうはまたこの授賞式に奇しくもIARFの、日本においての会議で世界じゅうから七十人もの来賓の先生方がおいでになって、いまこの向こうのロイヤルボックスにお座り願っておるわけでございます。(拍手)
今度の会議は特に事務総長でありますところのゲアマン博士、そしてIARFの副会長のシュローターマン博士を初め七十名の──これは国際的に非常に活躍をしていらっしゃる方々ですが、こうして大勢いらっしゃっているわけであります。この受賞の一番の問題は、IARFに協力をしたということ、そしてWCRPの日本の代表として発起人の一人で、七〇年の第一回、そしてルーベンの第二回、そういうWCRPの活動というようなことがちゃんと示されております。そうしますと、これは日本の宗教界の皆さま方が私のような者を推して、WCRPの大会を成功裏に導いていただきました、日本じゅうの宗教家の皆さま方のご後援のたまものでもあるわけであります。(拍手)そういう意味で、本日は私自身の受賞ではなく、日本の宗教界の受賞であり、また、新宗連の受賞であり、佼成会の受賞でもあると、私はそのように考えている者でございます。(拍手)
そういう意味で、今日の光栄をここにもたらしました皆さま方に対して衷心より厚くお礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)なお、本日はこの受賞に当たりまして、わざわざスペンサー・ラーバン博士、また婦人代表のファーバー女史、それにカルキンス先生、このお三方が、わざわざ私にこれを授けてくださるために、おでましをいただきましたのでございます。このお三方に衷心より感謝を申し上げたいと思います。(拍手)
私どもの会員綱領でありますが、これもやはり自己の完成ということを目指して、仏教による働きをする、というのであります。自分の人格の完成を目指して、自己の練成を通して、家庭、そして社会、そして国家、世界の平和境を建設することを期す。このように佼成会の綱領は結んであるのでありまして、この綱領を実現できるというその一番のバックボーンになるものは、これは三宝帰依ということになります。仏さまに帰依する、そしてお説きになられた法門に帰依する、そして最後に僧に帰依する、であります。
昨年、カナダにおきまして行なわれましたIARFの会合で、万教同根ということを申し上げたのであります。法華経の中には一仏乗と言われております──いろいろの宗教がたくさんある。それはインドのガンジス河の砂の数ほどある。そういうたくさんの教えがあるけれども、決して二つないのである。真の宗教というものは一つである。教えの根本は一つである。こういうことをお釈迦さまが教えておられるのであります。
私どもが依りどころとする経典は法華経であります。その法華経の精神、さらにまたシュバイツァー博士の論文の中に、生命の畏敬という問題がございました。これはまさに如来寿量品にありますところの、人間の生命の尊厳ということであります。神さま仏さまにわれわれは命をいただいて生かされているということであります。われわれの生命は永遠である。今世だけのものではないのである。そこで今世の結果だけを追求しないで、永遠の大生命に向かって、私どもが正しい信仰をずうっと続ける、こういうことの重大さを言っているのであります。
もう一つ、不言実行という言葉が書いてございました。これは普賢菩薩という菩薩さまが法華経の中にはございますが、普賢菩薩さまのところには本当に法華経行者の実行すべき項目がきちっと並べてあるわけであります。そういう意味で法華経のこうした思わぬ功徳、本日のこのシュバイツァー賞の受賞などは、本当に望みもしない大功徳がこうしていただけるわけであります。法華経の中には功徳が一ぱいある。功徳だらけであるということを言うのであります。まさに本日もその功徳でございます。シュバイツァー博士のことに対しましては、本日おいでいただきました三人の先生方から、特別これはすばらしい言葉で表現されておりますので、私が申し上げることはむだだと思います。私どもの菩薩道というものが、このように世界的に認められたということは、これは「三世諸仏の説法の儀式」と言われて、お釈迦さまがお説きになっておられますが、その法華経の功徳、帰依三宝の功徳、その何ものでもないと私は思っております。
私どもにこのような栄誉を、本日ここまで、わざわざお待ちをいただきまして、私にお授けくださいましたお三方に衷心より感謝を申し上げます。(拍手)
それから、一緒に光栄に浴す、アメリカのグリーリー博士でありますが、私の最も尊敬いたしております、しかもWCRPの先駆者であって、非常に指導力を持ったすばらしい指導者であります。先生はやはり受賞されるわけでございます。私は本日ちょうだいするわけでありますが、グリーリー博士は六月にちょうだいするそうでございます。グリーリー博士とご一緒にこの光栄に浴したということを、本当に心からうれしく、また、グリーリー博士の栄誉に対して、心からお祝いを申し上げまして、私のごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)